商売であるからには、商品やサービスを提供してその代償を頂いています。
パクリ屋と呼ばれる組織的な詐欺は別ですが、基本的にお客様を信用して商売をしています。
先日はエアコンを買うお金が無いというご高齢の方が来店、ひとり暮らしでクレジットも通りません。
親戚は90歳になるお姉さんが施設に入っています。 毎月一万円ずつ払うという事で、お願いされ、エアコンを取り付けてあげました。
街の電器店は地域店と呼ばれ、地域密着の仕事をしています。
わたし自身、亀戸で育ちこの街で仕事をしています。
そんな私が、亀戸で暮らす人を見捨てる事は出来ません。
お金が無いなら、払ってくれるまで待ちます。
以前にもこんな出来事もありました。
ちょっと昔のブログ記事をリライトしました。
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お金を払ってくれないお客様。
街の電器店には様々な困り事で相談しに来るお客様の対応をします。
夜中に嫌がらせのピンポンを鳴らすという方からのご相談。
そこで私は、テレビドアホンで自動録画するタイプを提案いたしました。
設置工事消費税込で35,000円のご提案で、了承頂き、工事を行いました。
お支払の段階で、『あとで支払う』ということでその場は終わりました。
後日お支払の事でお電話すると。
『そのうち払いに行く』という事でした。
さらに数日後確認すると。
『いつか払いう』という事でした。
『いつか』は『五日』ではありません。
あての無い、払う気の無い宣言と同じです。
実は街の電器店にはこのような方が時々おります。 お金を払う気は無く依頼をする方。
お金を払わないなら売らなければ良いのではないか?
そう思う方が多いと思いますが、街の電器店は困っている方を助けるのが使命と感じて仕事をしています。
お金より先に行動を起こしてしまうのです。 性善説で商売をしているのが街の電器店なのです。
『いつかは払う』と聞いて落胆をしました。警察に被害届を出すのも一つですが、35,000円を回収する為の労力と時間を考えると、
泣き寝入りするのが普通です。
よっぽど腹の収まりがつかない時は、金額にかかわらず被害届を出す事もしますが、たいていは目をつぶってしまいます。
でも、今回は諦める前にダメ元で、最後の悪あがきと申しましょうか?
あえてお礼のハガキを書いてみました。
『ご依頼 感謝です』と。習ったばかりの笑顔流の文字を書いて。
それから20日が経ちました。
受け取ったSさん、きっと毎日このハガキを見ていた事でしょう。
お金を払ってないのに『ご依頼 感謝です』と。
来る日も来る日も、だんだん、このハガキの存在は大きくなったのだと思います。
請求書を何回も送ったのではありません。 何回も催促の電話をしたのでもありません。
たった一枚。 依頼のお礼として『ご依頼 感謝です』とお礼のハガキを出したのです。
先日、代金を払うので集金に来てくれ、という電話があり。代金は回収できました。
イソップ物語りの『北風と太陽』を思い出します。
あるとき、北風と太陽が、どちらが旅人の上着を脱がせることができるか?という勝負をする。
北風は力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとする。しかし寒さを嫌った旅人が上着をしっかり押さえてしまい、
北風は旅人の服を脱がせることができなかった。
次に、太陽は燦燦と照りつけた。すると旅人は暑さに耐え切れず、今度は自分から上着を脱いでしまった。
このハガキは太陽となってくれた。
そして私はこれからも太陽のような商売を続けて行こうと思います。