ユーコン川へ想いを寄せたのは、15年いや20年くらい前になるかな。
好きな作家、椎名誠さんや野田知祐さんの影響は大きい。
でも、装備や行程から一般の人じゃ冒険過ぎると思い、憧れで終わっていた。
それが、TV番組『水曜どうでしょう』で大泉洋さんが、まったくの素人なのに、カヌー
でユーコン川を下った放送を見て、ユーコンへの敷居が低くなった。
ガイドに日本人がいる。 (私が利用した カヌーピープル)
カヌー経験が無くてもOK。
テント生活、風呂やシャワーが無くてもOK、野糞が出来る。
コレだけクリアーすれば、後はお金と時間だけを確保すればユーコンに行けるのです。
お金は一年掛けて貯めました。・・・何たって働きましたからね。
さぁ後は時間作り。 地デジ化が終わり、エアコンのピークが終わる8月20日から
夏休みをとる計画。 仕事の関係者に不在中の作業をお願いしておいた。
予約は2月には終えていた。 そして東日本大震災。
行けるのだろうか? 3月に参加者向けの説明会があった。こんな時に。
ユーコンの基地、ホワイトホースでは日本の為の基金イベントが行われた事を知った。
日本人ガイドの佐久間さんは帰国して、石巻で泥掃きをした報告を聞いた。
今回の旅の企画をしてくれたアウトドアメーカのモンベルは『アウトドア義援隊』と称し
アウトドアメーカならではの、野外サバイバルを石巻で展開していた。
これはユーコンに行って東北を支援してくれた方へ恩返ししなければ。
そして8月20日を向かえた。
成田空港に各地から集まった参加者8名でバンクーバーに向かう。
バンクーバーでの乗り継ぎに半日あったので市内観光に向かった。
バンクーバーで別便で来た人と合流し、ホワイトホースへ飛び立つ。
ホワイトホースに着いたのは夜9時頃、でもまだ明るかった。程よい寒さだった。
ホテルに着くなり、すぐ隣のレストランで夕食。
分厚いスペアリブというアメリカンスタイルの食事の洗礼を受ける。
翌日、カヌーでの出発地までは水上飛行機で20分ほど飛んだ。 水上での離着陸は貴重な経験だ。
さぁ、ユーコン川に到着。 カヌーに装備を積み込み出発だ。
(画像はクリックすると拡大します)
川はフラットに見えるが、けっこう流れはキツイ。早いというより分厚いトルク感ある流れだ。 当然だけど水温は低い。 沈して流されたら命は無いだろうな。
ユーコン川の環境はきちんとした、ルールとマナーで保たれている。
トイレなどは川から何メートルと決まっていたり、調理した残材の処理。熊対策でテント内での飲食や香料ある物の使用禁止や、洗剤や歯磨きなど川に影響の少ない物を使用するように指示された。というより原則、洗剤は使わない。
熊に遭遇した時の対処や、ベアスプレーの使い方も教えてもらった。
と言っても、何も恐れる事は無い。大抵は人間の存在を先に熊が知って、熊の方が避けてくれるそうだ。
カヌーを漕ぎ出すと、そこには素晴らしいウイルダネスが待っていた。
漕ぐのを止めると、そこには素晴らしい静寂があった。
何も聞こえない、シーンとした情景がしばらく続いた。 こういう時はしゃべる声も雑音だ。 カヌーパートナーとも無言で過ごし、この静寂を楽しんだ。
キャンプに適した場所はガイドが案内してくれる。
そこにはちょっとしたハイキングコースもあって、こういう場所はガイドが居ないとわからない。 冒険旅行でユーコンを目指す人も居ると思うけど、川を下った達成感で終わってしまう気がする。
ユーコン川には、日本の幕末と同じ頃、ゴールドラッシュで栄えた時期があり、この時の歴史的建造物などが随所に残っている。
坂本龍馬がみたら驚くだろうな、蒸気船。 ここで廃船となった。
ガイドのEmilyのひいおじいちゃん?が船長さんだったそうです。
食事はガイドが作ってくれたので、私は釣りに興じた。グレーリングは入れ食いだった。
昼食はカヌーを接合し、イカダ状にして流れながら食事をした。 名づけて『フローティングランチ』グループツーリングならではの楽しみだ。 瀬が少ないユーコン川だから出来る行為だ。
夕食を終えて時計を見ると夜の9時でもまだ明るい。
夜10時に夕焼けを見る不思議な経験だ。
トイレはガイドさんが穴を掘ってくれた。
このシャベルがあるときは、トイレは空いているという合図である。
全体を通して動画にしてみました。
素敵な旅を演出してくれたガイド
Katsu
Kurt
Emliy
に感謝します。
また行っちゃおうかな。
2011年 9月 17日 追記
私の投稿記事に、触発されて? 来年の夏にユーコンに行ってみようと思った方へ。
この本読むと良いですよ。
新田次郎の『アラスカ物語』 TVや映画にもなったのでご存知の方もいると思います。
100年も昔、宮城県、石巻出身の安田さんがアラスカの地で、エスキモーの人々を移住させ村を作った話です。
この『アラスカ物語』を読んで、一人でアラスカまでカヌーで旅した女性がいます。
『廣川まさき』さんです。 カヌーもキャンプも経験無いのに、一人でユーコン川を旅した紀行書です。
川の流れの中で、静寂を楽しんでいる くだり なんかはとても共感しました。
熊避けに銃よりギターというのも、素晴らしい。
これで、来年の資金にしようとは、・・・ちょっと考えてます(笑)