少なくても、私は寿司屋のカウンターで食した事がある。
目の前に大将がいて、ネタケースから注文の品を丁寧に取り出し、ささっと握って目の前に二貫置かれる。
大将の後ろにはネタ書きがあるが値段は書いてない。
ドキドキである。小市民であるがゆえに、この二貫が置かれると同時に、頭の中で予想の数字で、そろばんが弾く。
そんな寿司屋は今じゃ少なくなった。
目の前に流れるすし皿は、100円もあれば、どうだ800円だぞ取ってみろ、と言わんばかりの金箔が入った皿が流れる。
回転寿司じゃなくても、今じゃ明朗会計だ。 きちんとメニューがあって値段が書いてある、注文するときは自分で頭の中の電卓で計算してから注文できる。
フトコロ具合と腹の具合がマッチした安心したシステムだ。
ところが前者だと、フトコロ具合を心配しつつ腹を満たす、とてもスリリングな会計システムだ。
確かにこれだと、今ドキじゃないけど、背の伸びして入る、大人だけの寿司屋さんは残って欲しい。
残念だけど、今の子供達だと、すし屋=回転すしなんだろうね。
そんな昔ながらの寿司屋さんでお得意さんがいた。
いつもは仕事なので、勝手口から御用聞きをした。
亀戸でも有名な高級寿司店。 さすがにココのカウンターで食べた事は無かった。
ある時、大将に言われた。
『たまには、彼女連れて、正面から入って来い』と。
『心配すんな、勘定は適当にヤッテヤル』 と。
こちらのフトコロ事情も考えてくれる優しい大将だった。
とは言っても、一緒に行く人もいなければ、適当にヤッテヤルと言われても、二人で行けば、片手分は財布に入れていかなければならない。
『そのウチに』とお茶をにごして私は答えていた。
この寿司店は、昨年閉店した。
大将との約束は果たせなかった。
たまにお土産で頼む、ココの太巻きは4000円だ。
昨日、850円の恵方巻きを食べて、ふと あの寿司店を思い出した。
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