エアコンが冷えないと、安易にガスが無いと思い、『ガスを入れてくれ!』という依頼が来ます。
消費者の皆さんは、エアコンのガスは消耗すると思っている人が多いようですね。
エアコンのガスは長く使っても、減る事はありません。
よくガスを入れたという話を聞くと思いますが、これはガスがどこからか?漏れたのでガスを入れたのです。
もう一度言いますけど、消耗してガスが足りなくなったのではなく、ガスが漏れたから足りなくなったのです。
それでは、どこからガスが漏れたか?
その多くは、配管の接続部です。
エアコンは半完成品です。
製造メーカーが出荷した商品を販売店で取り付けて、初めて完成品となるのです。
その取り付けの重要な作業に配管接続があります。
話を戻して、この配管接続部に不備があると、エアコンはガス漏れを起こすのです。
配管接続部は、室内側と室外側があります。
一般の人が目視できやすい場所は、室外機側です。
室外機側の接続部がこのように黒くなり油が点いている場合は、ガス漏れを起こしていると言っても良いでしょう。
引っ越しで移設した場合などは時々、漏れてなくて移設作業で油が付いている事がありますが、このくらい黒くなっていたら間違いなくガス漏れしています。
室内機側は目視は難しいです。
ほとんどは隠れています。
今回は室内機側が怪しかったので、室内側の配管のテープをはがし、接続部を確認したところ、やはり油が付着していました。
それでは、接続部の不備というのはどういう事でしょうか?
いろいろと要因があります。
配管接続する時に、施工者はフレア加工という加工作業を行います。 配管をラッパ状に加工するのです。
この時の精度が重要です。開き過ぎず、狭すぎず。規定の加工精度があります。
そしてこの接続をナット閉めをするのですが、締め付ける力加減があります。
締め付けトルクと言って、トルクレンチという締め付け力を一定になる工具を使って締め付けるのです。
この締め付ける加減が強いとどうなるでしょう?
こうなります。 ナットに亀裂が入っているが分かりますか?
きっとこのエアコンを施工した人はトルクレンチを使ってないか?もしくはトルクレンチの精度が狂っているのだと思います。
実はこのエアコンは施工して1年です。
施工した者が手直しするなら、施工者の責任として無料で行うべきです。
施工者の失敗した作業ですから。 不良工事ですから。
そのことをお客様にも告げましたが、それでも栄電気にやって欲しいという事で対応しました。
作業としては、新しいナットを用意し、配管のフレア加工を行い、既定値のトルクで締め付け、真空ポンプで配管の中を真空乾燥させ、規定量のガスを入れて完了しました。
実をいうと、新しくエアコンを取り付けるよりガス漏れを改修する作業というのは、難易度が高い仕事です。
使う道具も違います。
工賃も取り付け工事より高くなります。(ガスの種類や量によって違ってきます)
それにしても、何で施工したところにお願いしなかったのかな?
何か?トラブルがあったのかな?
『これからもいろいろとお願いします』というお客様。
新しいご縁が始まりました。
ご依頼ありがとうございました。