私の頭の中の消しゴム [DVD]という韓国の映画がある。
若年性アルツハイマーを台題材にした、切ないラブストーリー。
亀戸3丁目に、認知症の患者さんの施設がある。
亀島小学校の跡地に出来た施設と言えば、亀戸在住の人なら分かるかな。
先日ここに入って1年くらい経つお客様を訪問した。
認知症という事で、私の事は分かるだろうか?
恐らく分からないだろう。そんな自問自答をして、なるべく思い出してくれるよう、わざと作業服とネジリはちまきのいつもの格好で施設を訪問した。
認知症患者の施設は、普通親族くらいしか見舞いに来ないので、作業服のままで訪問した私は、職員の方に怪しまれてしまった。
当然である。
『いつもこの格好で、おばあちゃんに会っていたので、○○さんが思い出してくれると思って、こういう姿で来ました』
事情を説明し、親族じゃないので、職員の方が一緒ならと言う事で面会を許可してくれた。
車椅子に座って、そのおばあちゃんは、以前よりだいぶ痩せていた。
『○○さん、会いに来たよ』と言うと。
『ありがとね、ありがとね』と答えてくれた。
『誰でもそう言うのですよ、きっと分かってないと思いますよ』と職員の方に耳打ちされた。
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この おばあちゃんとの出会いは、エアコンを購入して戴いた事がきっかけ。
とても安いエアコンでした。東北の出身らしく、節約と質素な生活を心がけていた方でした。
出不精なのか? 良く電話で依頼があり、リモコンの電池を交換しに訪問したこともよくありました。
『細かい儲からない仕事でも、良くやってくれて ヨシ合格!』
実は、私 試されていたようです。
さすが東北の堅実なお方です。
『孫の代まで、面倒見てくれよよな、約束だよ』
そう、おばあちゃんと 約束もしました。
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施設内では、ほとんど、ボーっとしていると施設の職員の方は教えてくれました。
一方的に話す私に、ただ うなずき、時には『ありがとね、ありがとね』と繰る返すだけでした。
やっぱり思い出してくれなかったんだ。 自分の中に諦めを感じました。
職員の人が立ち会ってくれているので、長居は悪いので、そろそろ帰ろうと思い。
最後に『○○さん、もう帰るね、さよなら』と私が言うと。
『アリガトぉ』
・・・語尾のイントネーションが変わりました。
そしておばあちゃんの目を見ると、明らかに分かってくれた目をしていました。
施設を出ると、とても切なくなり涙が出ました。
おばあちゃんの元気な姿と、今のその姿の変わり様。
私の頭の中の消しゴム [DVD]のラストもそうでした。
以前の姿と、変わった姿が交互に映像に出されます。
思い出してくれたようで、良いじゃないか。そう自分に言い聞かせました。
先日、息子さんの家に冷蔵庫と洗濯機を納めさせて戴きました。
おばあちゃんとの約束、『孫の代まで面倒みてくれよな』
約束は守っておりますヨ。 おばあちゃん。
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